みやこ映画生活協同組合」設立趣意書
かつて映画は娯楽の王様でした。子供の頃、青春の一時、大きなスクリーンの映像や迫力のある音響に興奮し、映画の素晴らしさに感動した思い出を多くの人が持ち続けています。 しかし、テレビが普及し、番組編成も多様化し、ビデオレンタルが盛んになる中で映画は衰退し、地方都市の映画館は次々に閉館に追いやられてしまいました。 宮古市もかつて7館もあった映画館が次々に閉館し、大船渡以北の三陸地方では完全にその姿を消してしまいました。今世紀最高の総合芸術ともいわれる映画の素晴らしさや、その感動を日々の暮らしの中に生かすことができなくなってしまいました。 こうした不幸な状況下でも、映画の素晴らしさを一人でも多くの市民の暮らしに取り戻したいという願をこめて、住民で組織する自主上映団体が誕生し、多くの市民や行政のバックアップにより、自主上映を成功させてきました。この自主上映には宮古市内だけではなく、近隣の市町村の映画ファンが参加し、その中から自分たちで運営できる映画館をつくりたいという声が高まってきました。 「宮古にも映画館を」「わたしたちの映画を観るものの声が反映できる映画館を」「小さくても近代的で映画の楽しみを満喫できる映画館を」など、夢が広がっていきました。 ちょうどそのころ「いわて生活協同組合」の大型ショッピングセンター建設の構想があることを知り、千載一遇のチャンスと映画館建設を要請しました。しかし、地域の映画人口が減少したなかでの映画館経営は難しさもあり慎重な検討を続けた結果、ついに一つの道を選びました。 それは、映画館を運営する新しい生活協同組合を設立することです。誰かにお願いしたり依存したりするのでは、私たちの夢は夢で終わります。しかし、地域住民として私たち一人一人がその想いを寄せ合い、一緒に取り組むなら、この夢は実現できるのではないでしょうか。 生活協同組合は、趣旨に賛同するものが組合員になって、みんなで「出資・利用・運営」する組織であり、この方式で映画館を運営(経営)することが最良であると考えます。 地域の子どもたちに、お年寄りに、映画の素晴らしさを…。そして高齢化社会の中でいつかは老後を迎える私たちが、現在と未来のいきいきとした暮らしを創造するために、この三陸の中心「宮古」に、私たち住民が力を合わせ素晴らしい映画館をつくり、それを運営しようではありませんか。 楽しい映画は多くの人と観ればその笑いももっと大きくなります。感動はその場で観る多くの人々の数だけ深くなります。自分たちでつくり運営する私たちの映画館に、人々が集い感動を共有できるということはとても素晴らしいことだと思います。 この三陸地方に住む老若男女が力を合わせて、県内一の素晴らしい映画館をつくり、その上映をみんなの知恵と力で成功させましょう。 一人でも多くの皆さんのご賛同を心から訴えます。 1996年12月13日 「みやこ映画生活協同組合」 設立発起人代表 佐藤 勝一 スポンサーサイト
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